Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
彼の家に移って後も、梅雨前になると蛇が来て空洞の孔から頭を出したり、幹に絡んだり、枝の上にトグロをまいて日なたぼこりしたりする。三疋も四疋も出て居ることがある。百日紅の枝其ものが滑っこく蛇の膚に似通うて居るので、蛇も居心地がよいのであろう。其下を通ると、あまり好い気もちはせぬ。時々は百日紅から家の中へ来ることもある。ある時書院の雨戸をしめて居た妻がきゃっと叫んだ。南の戸袋に蛇が居たのである。雀が巣くう頃で、雀の臭を追うて戸袋へ来て居たのであろう。其翌晩、妻が雨戸をしめに行くと、今度は北の戸袋に居た。妻がまたけたゝましく呼んだ。往って繰り残しの雨戸で窃と当って見ると、確に軟らかなものゝ手答がする。釣糸に響く魚の手答は好いが、蛇の手応えは下さらぬ。雨戸をしめれば蛇の逃所がなし、しめねばならず、ランプを呼ぶやら、青竹を吟味するやら、小半時かゝって雨戸をしめ、隅に小さくなって居るのを手早くたゝき殺した。其れが雌でゞもあったか、翌日他の一疋がのろ/\と其侶を探がしに来た。一つ撲って、ふりかえる処をつゞけざまに五六つたゝいて打殺した。殺してしもうて、つまらぬ殺生をしたと思うた。