Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
た。然し田舎住居がしたいと云う彼の述懐を聞いて、やゝ小首を傾げてのち、それは会堂も無牧で居るから、都合によっては来てお貰い申して、月々何程かずつ世話をして上げぬことはない、と云う鷹揚な態度を石山氏はとった。兎に角会堂を見せてもろうた。天井の低い鮓詰にしても百人がせい/″\位の見すぼらしい会堂で、裏に小さな部屋があった。もと耶蘇教の一時繁昌した時、村を西へ距る一里余、甲州街道の古い宿調布町に出来た会堂で、其後調布町の耶蘇教が衰え会堂が不用になったので、石山氏外数名の千歳村の信者がこゝにひいて来たが、近来久しく無牧で、今は小学教員母子が借りて住んで居ると云うことであった。
会堂を見て、渋茶の馳走になって、家の息子に道を教わって、甲州街道の方へ往った。
晩秋の日は甲州の山に傾き、膚寒い武蔵野の夕風がさ/\尾花を揺する野路を、夫婦は疲れ足曳きずって甲州街道を指して歩いた。何処やらで夕鴉が唖々と鳴き出した。我儕の行末は如何なるのであろう? 何処に落つく我儕の運命であろう? 斯く思いつゝ、二人は黙って歩いた。
甲州街道に出た。あると云う馬車も来なかった。唯有る店で、妻は草履を買うて、靴をぬぎ、三里近い路をとぼ/\歩いて、漸く電燈の明るい新宿へ来た。