Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
彼の文章は格に入らぬが、彼の作る大根は往々芸術の三昧に入って居る。
彼は仕事着にはだし足袋、戦争にでも行く様な意気込みで、甲斐々々しく畑に出る。少し働いて、大に汗を流す。鍬柄ついて畑の中に突立った時は、天も見ろ、地も見ろ、人も見てくれ、吾れながら天晴見事の百姓振りだ。額の汗を拭きもあえずほうと一息入れる。曇った空から冷やりと来て風が額を撫でる。此処が千両だ、と大きな眼を細くして彼は悦に入る。向うの畑で、本物の百姓が長柄の鍬で、後退りにサクを切るのを熟々眺めて、彼運動に現わるゝリズムが何とも云えぬ、と賞翫する。小雨ほと/\雲雀の歌まじり、眼もさむる緑の麦畑に紅帯の娘が白手拭を冠って静に働いて居るを見ては、歌か句にならぬものか、と色彩故に苦労する。彼自身肥桶でも担いで居る時、正銘の百姓が通りかゝれば、彼は得意である。農家のおかみに「お上手ですねえ」とお世辞でも云われると、彼は頗る得意である。労働最中に美装した都人士女の訪問でも受けると、彼はます/\得意である。
稀に来る都人士には、彼の甲斐々々しい百姓姿を見て、一廉其道の巧者になったと思う者もあろう。