Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
見る/\日の威力は加わって、光は白く霞に咽ぶ。
庭の桜の真盛りである。落葉松、海棠は十五六の少年と十四五の少女を見る様。紫の箱根つゝじ、雪柳、紅白の椿、皆真盛り。一重山吹も咲き出した。セイゲン、ヤシオなど云う血紅色、紅褐色の春モミジはもとより、槭、楓、楢、欅、ソロなどの新芽は、とり/″\に花より美しい。
畑に出て見る。唯一叢の黄なる菜花に、白い蝶が面白そうに飛んで居る。南の方を見ると、中っ原、廻沢のあたり、桃の紅は淡く、李は白く、北を見ると仁左衛門の大欅が春の空を摩でつゝ褐色に煙って居る。
春の日も午近くなれば、大分青んで来た芝生に新楓の影繁く、遊びくたびれて二つ巴に寝て居る小さな母子の犬の黒光りする膚の上に、桜の花片が二つ三つほろ/\とこぼれる。風が吹く。木影が揺く。蛙が鳴く。一寸耳をびちっと動かした母犬は、またスヤ/\と夢をつゞける。
夕方は、まんまるな紅い日が、まんじりともせず悠々と西に落ちて行く。横雲が一寸一刷毛日の真中を横に抹って、画にして見せる。最早穂を孕んだ青麦が夕風にそよぐ。
夜は蛙の声の白い月夜。
(明治四十三年)
ある夜
梅に晩く桜に早い四月一日の事。