Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
正午の頃までは、裏の櫟林で吠えたりして居た。何時の間に甲州街道に遊びに往って無惨の最後を遂げたのか。
尤も彼は此頃ひどく弱って居た。彼は年来ピンの押入婿であったが、昨秋新に村人の家に飼われた勇猛の白犬の為に一度噛み伏せられてピンをとられて以来、俄に弱って著しく老衰して見えた。彼は其の腹慰せであるかの如く、何処からかまだ子供々々した牝犬を主人の家に連れ込んだ。如何に犬好きの家でも、牝犬二匹は厄介である。主人は度々牝犬を捨てたが、直ぐ舞戻って来た。到頭近所の人を頼み、わざ/\汽車で八王子まで連れて往って捨てゝもろうた。二週間前の事である。其後デカが夜毎に帰っては来たが、昼は其牝犬を探がしあるいて居るらしかった。探がし探がして探がし得ず、がっかりした容子は、主人の眼にも笑止に見えた。其様な事で弱って居る矢先、自動車に轢かるゝ様なことになったのだろう。春秋の筆法を以てすれば、取りも直さず牝犬を捨てた主人の余の手にかゝって死んだのである。
彼は幡ヶ谷の阪川牛乳店に生れて、其処此処に飼われた。名もポチと云い、マルと云い、色々の名をもって居た。ある大家では、籍まで入れて飼って居たが、交尾期にあまり家をあけるので、到頭離籍して了うた。