Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
兎に角篠原良平の死と「寄生木」とが、寂しい将軍の晩年に於てまた一の慰藉となったことは、察するに難からぬ。篠原良平が「寄生木」を遺した目的の一は達せられたのである。
余は篠原良平の晩年に於て、剣を抛つ可く彼に勧告し、彼を乃木将軍から奪う可く多少の努力をして、彼が悶死の一因を作ったのと、学習院に於て余の為可かりし演説が某の注意に因り院長たる将軍の言によって差止められたことを聞いた外、乃木将軍とは一回の対面もせず、一通の書信の往復も為なかった。茫々たる宇宙に於て、大将夫妻と余をいさゝか繋ぐものがあるならば、其は「寄生木」である。
然しながら寄生木は、篠原良平の寄生木で、余の寄生木では無い。唯将軍と余の間に一の縁を作ったに過ぎぬ。乃木将軍夫妻程死花が咲いた人々は近来絶無と云ってよい。大将夫妻は実に日本全国民の崇拝愛慕の的となった。乃木文学は一時に山をなして出た。斯上蛇足を加うる要はないかも知れぬ。然し寄生木によりて一種の縁を将軍夫妻に作った余には、また余相応の義務が感ぜられる。此義務は余にとって不快な義務では無い。余は如何なる形に於てかこの義務を果したいと思うて居る。