Japanische Klassiker mit Furigana
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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
Lesen Sie みみずのたはこと (みみずのたわこと) von 徳冨 健次郎 (とくとみけんじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 265.437 Zeichen · 530 Bildschirme
せめて奥州、北海道、樺太、乃至大陸の露西亜とか西比利亜とかでなければ、本当の冬の趣味は分からぬ。秋日々に老いて近づく冬の気息が一刻々々に身に響く頃の一種の恐怖、死に先だつ深い絶望と悲哀は、東京附近の浅薄な冬の真似では到底分からぬ。東京附近の冬は、せい/″\半死半生である。冬が本当の死である国土でなければ、秋の暮の淋し味も、また春の復活の喜も十分には分からぬ。
「おゝ神よ、吾をしてこの春に会うを得せしめ給うを感謝す」と畑で祈ると云う露西亜の老農の心もちには、中々東京附近の百姓はなれぬ。
否でも応でも境遇に我等は支配される。我々の邦では一切の事が兎角徹底せぬわけである。
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午後散歩、田圃では皆欣々喜々として晩稲を苅って居る。
甲斐の山を見る可く、青山街道から十四五歩、船橋の方へ上って居ると、東京の方から街道を二台の車が来る。護謨輪の奇麗な車である。道の左右の百姓達が鎌の手をとゞめて見て居る。予は持て居た双眼鏡を翳した。前なる透かし幌の内は、丸髷に結って真白に塗った美しい若い婦人である。後の車には、乳母らしいのが友禅の美しい着物に包まれた女の児を抱いて居る。