Japanische Klassiker mit Furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Lesen Sie パンドラの匣 (パンドラのはこ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.644 Zeichen · 386 Bildschirme
兄さんは、怒る時には、とても凄い。姉さんの結婚も、もう間近になったから、先月、看護婦の杉野さんが来て、姉さんに教えられながらお母さんのお世話をはじめるようになったのである。お母さんは、ぶつぶつ言いながらも、あきらめて杉野さんの世話を受けているようだ。お母さんも、兄さんには、かなわないらしい。お母さん! 姉さんがいなくなっても、気を落さず、兄さんとそれから僕の為に、どうか元気を出して下さい。姉さんだって、もう二十六ですから、可哀そうです。わあ、いけねえ。ませた事を言った。でも、結婚は、人生の大事件だ。殊に婦人にとって、唯一の大事件と言っていいかも知れないのだ。てれずに、まじめに考えてみましょう。
姉さんは、尊い犠牲者であった。姉さんの青春は、家事とそれからお母さんの看病で終ってしまった、と言っても過言ではなかろう。しかしながら、この永い忍苦は、姉さんにとって、決して無駄ではなかったと思う。姉さんは、僕たちと比較にならぬほど、深い分別をお持ちになったに違いない。忍苦は、人間の理性を磨いてくれるものだ。姉さんの瞳は、このごろとても綺麗に澄んでいる。結婚が近づいても、気障にはしゃいだり、お調子に乗ったりしないから、偉い。