Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
木崎の眼の熱っぽさにくらべて、陽子の眼は取りつく島がないくらい、冷やかであった。眼は触れても、心は通わず、若い女というものは若い男と二人いる場合たいてい無意識のうちに恋愛へのスリルを感じている――という俗説に反撥するような、冷やかな無関心に陽子は冴え切っていた。
だから、言葉は事務的であった。
「実は、昨夜十番館でおうつしになったフィルムを、わたくしにいただきたいのです」
「なぜ……?」
「理由は申し上げたくございませんの。言えませんの。――理由を申し上げなくっちゃ、フィルムをいただけないでしょうか」
「いや、きいてもきかなくても同じ事です。お譲りすることは、どんな理由があっても、出来ません」
「なぜ……?」
「理由は言えません」
陽子と同じ返事をしたのは、皮肉ではなかった。陽子は暫らくだまっていたが、やがて、
「なぜ、わたくしをおうつしになられましたの……?」
「その理由も、今は言えません」
「…………」
「それより、あなたはなぜダンスなどしているんです」
木崎はいらいらした声になっていた。
「生活のためです」
陽子もむっとしていた。
「ダンサーをしなければ食えないんですか」