Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
死んだという噂もきかないから、少々眼にやにが出ても、メチルではあるまいと、専らこれにきめ、その晩も二人で二本あけてしまった。
安いのと、口当りがいいので、ガブガブやったのが、いけなかったのだ。ほかのウイスキーではそんなことにもならなかったが、やはりアルプだった。銀ちゃんは前後不覚に酔っぱらい、意識が混濁したまま、坂野の細君と妙な関係になってしまった。細君も女に似ず強かったが、さすがに参っていた。
坂野はむろん疑いもしなかった。昨夜は女房の奴がまた御厄介で――と、へんに律儀に恐縮していた。銀ちゃんは返す言葉もなかった。
細君も悩んだが、しかし、この女は奇妙な女だ。悩んでいるかと思うと、あんなヒロポンマニアとは別れた方がましだと、サバサバしたり、不義の子を孕んだといって泣いたり、あんたの子うむのうれしいわとやに下ったり、ああ、おろしてしまいたい。
と、とりとめがなかったが、昨夜いきなり、置いてくれと、家出して来た。
「そりゃ困るよ、だいいち坂野に知れたら……」
銀ちゃんは少しでも女と一緒にいることを避けたかった。細君が逃げたと判れば、坂野はきっとその報告にやって来るだろう。