Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
が、交番というものには、やはり浮浪孤児らしい反撥があった。今日の昼間、円山公園の交番でもいやな想いをさせられたのだ。
それと、一つには、警官のたすけを借りずに、京吉へスリを渡したいという子供らしい虚栄心もあった。スリの落ちつく場所を見届けて、それを京吉に知らせる時の喜びが、カラ子をいつまでも尾行させていたのだろう。
「言え! 言わんのか! こいつ! なぜ、おれをつけた……?」
日頃大きな声も出せぬくらい大人しい北山には、ついぞこれまでなかった狂暴なその表情は怒りに逆上しているように見えたが、しかし、それは憤怒というより、むしろ北山の恐怖から出たものだった。
「こいつはおれがスリをしたことを知ってやがる!」
という予感が、北山を逆上させていたのだろう。臆病者の方がいざという時には狂暴な行動をやりがちなのだ。
「――お前、何もかも知っているんだろう。畜生!」
北山の手がカラ子の肩から首へ動いて、ぎゅっと力がはいりかけた途端、パーン、パーン……再び銃声が聴えて、なだれを打ったように、群衆がかけ出して来た。
「脱走だッ! 脱走だッ!」
「おい、こっちへ逃げろ!」
近くの大阪拘置所を破って脱走して来た一団であった。