Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
銀造はそう呟いたが、肚の中はべつのことを考えていた。――あの男は東京へ行くのだな、すると今夜は京都へ行かないなと、そんなことを考えていたのだ。
京都――田村――貴子!
「――今夜は貴子はひとりだ!」
豊満な貴子の肉体、その体温、体臭の魅力がよみがえり、もはや銀造にとって、京都へ行く喜びは娘のチマ子に会うことよりも、貴子の顔が見られることであった。
銀造はもう一度振り向いた。章三の顔は二等車の窓にあった。
彼の傲岸な顔は、やがて来た京都行きの省線に乗った銀造の瞼にいつまでも残り、銀造はおれも昔はあんな顔だったこともあると、東京で囲っていた貴子に会いに、大阪から寝台車に乗っていた時のことを想い出していた。何もかも昔の夢だ。寝台車で結んだ夢ももう夢になってしまった。日本も変ったが、銀造もすっかり変ってしまった。満州から引揚げてからは、からきし意気地のない男になってしまったのだ。
頼る所はなく一部屋貸してくれと、田村へ転がり込むのはまだいいとして、章三を見た翌日、夜更けて貴子の寝室へ忍び込んで、こっぴどくはねつけられ、田村をおん出てしまう羽目になったのは、何としてもだらしがなさすぎた。