Japanische Klassiker mit Furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme
「どうしてたんだ……?」
と、靴を出すと、いそいそとブラシを使いながら、
「あげられちゃったの」
「悪いことしたのか」
「ううん。浮浪者狩りにひっ掛ったのよ。寝屋川のお寺に入れられてたんえ」
「逃げて来たのか」
「うん」
クリームを塗っていた手をとめて、顔を上げると、ニイッと笑った。
「――やっぱし、靴磨きの方がいいわ」
笑うと、奇麗な歯並びが印象的に白かった。一寸すが眼気味の眼元がぱっちりとして、薄汚れているが思わず見とれたくなる可愛さは前とかわらなかった。が、半月見ぬ間にすっかり痩せおとろえている。
そのことを言うと、
「風呂は入れてくれるけンど、お腹ペコペコやさかい、風呂の中で眼がまわりそうになっちゃった。あんなとこにいてられへん」
寺院で経営している収容所には、放浪性に富んだこの娘をひきとめる魅力は何一つなかったが、その埋め合せといわんばかしに、我慢しきれぬいやなことが随分多かったらしい。
「――センターがなつかしかったえ」
「野宿しても腹一杯食べた方がましか」
「うん。それに、収容所にいたら、兄ちゃんに会われへんさかい……」
「えっ……?」
「あたい、兄ちゃんに会いたかったえ」