Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lesen Sie 土曜夫人 (どようふじん) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.903 Zeichen · 213 Bildschirme

Aozora Bunko

われわれが思っている以上に、ひとびとは一番さきに新聞の同じ欄を見るだろうし、また、われわれが思っている以上に、ひとびとが一番さきに見る欄は、それぞれ違っているのだ。

たとえば、坂野という男は、まっさきに身上相談欄を読む。そのあとで、ほかの欄を読む――こともあるし、読まぬこともあるが、とにかく身上相談欄をまっさきに読むことだけは、一日も欠かしたこともない。もっとも、一日もというのは、誇張だ。載っていない日があるからだ。

今朝の新聞には載っていた。細君が逃げてしまっても、身上相談欄はちゃんと彼の傍にいた。その欄を読むという習慣は、実は細君の影響だが、細君がいなくなっても、この習慣だけはヒロポン注射同様逃げてしまわない。

だから、坂野はまずヒロポンを二CC打った。それから今日の身上相談欄を読んだ。そして、改めて細君に逃げられたことを想い出して、ふんがいした。

「問――私の出征中、妻は、御主人は前線から帰りませんよという一巡査の言葉に偽られて、不倫の関係に陥り、ついに子供まで出来てしまったのでした。

その上相手は私の勤務先の手当や、子供の貯金まですっかり消費してしまい、終戦となるや、私の復員をおそれて無籍の嬰児を連れたまま行方をくらましてしまいました。