Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
ことさらに解説するまでもなく、今晩、このところで、この馬子を斬らねばならぬ必要も意趣も、寸分あるのではない。馬子風情を……といったところで、斬った時の斬り心地には、馬子も、大納言も、さして変りあるべしとは思われない。
この男が馬子を斬ってみようとしたのは、御用金を奪おうという経済の頭から出たのではなく、芝居気たっぷりの片手斬りに大向うを唸らせようという見得から出たのでもなく、はしなく嗾し得たり少年の狂――と春濤がうたった通りの、土地の空気がさせた魔の業と見るよりほかはないでしょう――尤もこの男ははや少年の部ではないが、血気はまだ必ずしも衰えたりとは言えますまい――こうして、苦笑いしながら地上に落したところの杖を取り上げて、越中街道の闇に、行先は、ただいま逃げた馬と同じ方向ですが、目的としては、高山の町の目ぬきのあたりへ現われようとするに違いない。
五十一
このたびの大火にあたって、いつぞや、宇津木兵馬が触書を読んだ高札場のあたりだけが、安全地帯でもあるかのように、取残されておりました。
歯の抜けたような枝ぶりの柳の大樹までが、何の被害も蒙らずに、あの時のままですが、今晩この夜中に、天地が寂寥として、焼野が原の跡が転た荒涼たる時、その柳の木の下に、ふと一つの姿を認められたのは、前の桜の馬場