Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

が解せないことがある。それが、日一日と強くなって、あの火事の騒ぎの晩なぞは――兵馬はその晩のことを思い出して、いよいよ変な気になりました。

このお部屋様が、自分に誘惑をやり出している、ということが、ハッキリわかってくると、全くイヤな心持です。

ただ、イヤな心持ではなく、二重にも三重にも、イヤな心持がするのは、自分のほかに、ここに召使われている誰彼の用人、小姓、みんなあれと同様の色目にあずかっているらしいからで、そうして、自分が新しくて珍しいものだから、特別に――という思わせぶりがたっぷりだからです。

つまりこうして、自分をおもちゃにしてみようといういたずら心なのだ。そうして、そのおもちゃになりつつ、表面は至極心服の態に見せているものが、現にこの邸の中に一人や二人はあるらしい。それでも、おたがいたちのうちに鞘当ても起らないし、お代官そのものもいっこう悪い顔をしないのは、お人好しで全く気がつかないのか、或いは自分が相当の食わせ者であるだけに、気がついても、見て見ないふりをしているのか。一方からいえば、それで風波を起さずに抑えているところは、どこかに、あの女の度胸だとも、器量だとも言えないことはない。