Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
八十六
でも、この監視つきのお酌で、一杯、二杯と傾けているうちに、相当にいい心持になって行くのは奇妙だと思います。
これは、へたな御機嫌取りの取持ちや、見え透いたお世辞者よりも、この大女にしてお酌と監視役とを兼ねた山出しが、時にとっての愛嬌となったためでしょう。大女のぎこちないお酌のしっぷりが、かえって興を催したものだから、神尾主膳は、いい気になって立て続けに二杯三杯と呷り、女が狼狽ぶりを、いよいよおかしく、まじまじとながめて、ようやく悦に入り、
「大きいなあお前は。いったい、目方は何貫あるんだ、カンカンは」
「生れつきだから、どうも仕方がありません、痩せたいと思っても、痩せられやしません、削るわけにもゆきませんからね」
「強いて、痩せたり削ったりするには及ぶまいではないか、世間には肥りたがって苦心している者もある」
「商売をしている時は、肥っていてもいいが、こうして御奉公をしている時は、痩せていた方が、どのくらい楽か知れないと思いますね」
「商売――肥っていてもいい商売というのは何だ」
「楽をしていると、かえって肥りますねえ」
「うむ、苦労をすると人間は痩せる、お前なんぞは苦労が足りないのだ」