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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

と、風雨に曝された木柱の文字。それを囲んで巨大なる松の木が五六本、おのずからなる離合の配置おもしろく生い立っている。

桜はと眼をつけて見たが、あちらに半ば枯れた大木と、あとから植えたものらしい若木が十本ばかり、半ば紅葉して見えただけのもの。さて、東には海を見晴らし、西には常磐の連山。海は遠く、山は近く、低い雲に圧され気味な、その日の、その時刻。

古関の木柱の前に立ちつくして、雲霧と海山とをながめ渡して、白雲はホッと息をつきました。

これは疲労を感じたから、ホッと息をついたのではない。夕暮の雲煙が、いとど自分の旅情を圧迫して、やはり、旅情というものを、いよいよおさえ難きものにしたからでしょう。

「遠くも来つるものかな」

彼はこういう表情をして、勿来の古関の上に、往を感じ、来を懐うて、いわゆる徊顧望の念に堪えやらぬもののようです。

実際、遠く来てしまったな――という感じは、その旅中の気分の中に充ち満ちているだけに、古来の「勿来」の文字が、大手をひろげて、なにか彼に向って、前路の暗示を与えてもいるもののようです。

「遠くも来つるものかな」

暗雲低く垂れて、呼べば答えんとするもののほかに、その感懐を訴うべき、人煙は無い。