Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

「それもそうですね」

こう言いながら宗舟は、手拭片手で流しの隅っこへ行って、無雑作にその鳩を取捕まえて、ちょっと仔細に眺めていたが、面の色を曇らせ、

「おかしいですよ」

「どうして」

「良斎先生、これはたしかに、北原さんが今朝持って出た第一号の鳩ですぜ」

「え」

「どうしてそれが分ります」

良斎と柳水とが声を合わせてこちらを向く。

「どうしてといって、あなた、この鳩には、北原さんから頼まれて私がいちいち足のところへ銘を打ちました、銘を打たなくとも、羽と毛の特徴と、気分で、私にはよくわかります。これはたしかに今朝、北原さんが持って出た第一号に相違ありません」

「してみると、北原君がまだ高山へ着いているはずはないのだから、途中から放して返したのだな」

「そうかも知れません」

「そうだとすれば、何か便りが書いてあるだろう」

「私も、そう思って見ましたが、文箱がありません、どこにも合図らしいものが認めてはありません」

「してみると、北原君が承知で放したのではなく、鳩が勝手に放れて戻って来たのですな」

「そうとしか思われませんが、そうだとすればいよいよ変です、無意味に鳩を逃す北原君ではなし、鳩もまた、勝手に馴れた人の手から逃げたがるはずはないのですから……」