Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
海は無限を教えて及びなきことを囁く。人間の生涯を海洋へ持って行って比べることは、比較級が空漠に過ぎるようだ。
左に磐城の連山が並ぶ、その上に断雲が低く迷う――多くの場合、人間は海よりも山を見て、人生を悲しみたくなる。それは特に山に没入する時よりは、山を遠くながめる時に於て、山というものの悠久性が、海というようなものの空漠性よりは、遥かに人間の比較級に親しみが深いからでしょう。海を見ても泣けない時に、かえって山を見て泣かねばならぬことがあります。
頭をあげて山川を見
頭を低れて故郷を思う
このたびの旅行に於て、海は白雲のために友であり、師であって、絶えずこれと共に歌い、これに励まされ来ったようですが、山がかえってこの男を、人間の悲哀に向って誘い込むらしい。
磐城の連山の雲霧の彼方に、安達ヶ原がある、陸奥のしのぶもじずりがある、白河の関がある、北海の波に近く念珠ヶ関もなければならぬ。
それを西北に廻れば、当然、那須、塩原、二荒の山々でなければならぬ。そうして、やがて上州の山河……
「遠くも来つるものかな」と感傷のため息をついたのは、白雲もまだ人間並みに故郷というものを思い出でたからでしょう。