Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

すべてに於てムクなんぞとは比較にならない、訓練の欠けた代物ではあるけれど、ただ一つ感心なのは、親熊の毛皮を忘れないということだけで、ためしにほかの毛皮を投げ込んでやっても、それは見向きもせずに、親の毛皮をのみ後生大事に守り、それにじゃれついて喜んでいる。

その点だけが、ただ米友を、眼を円くして唸らせるだけのものでした。

一通り熊の世話を焼いてしまってみると、さあ時分時だ――これからひとつ道庵先生のために、弁当を運ばねばならぬ時だと思い出してきました。

発明製作に没頭しているといえば、感心なようだが、弁当をわざわざ遠方から運ばせてまでも、没頭しなければならないほどの多忙がどこにあるか、その理由はわからないながら、とにかく、毎日、この時間に、このくらいの弁当を持って来な、と言いつけられている通りを、米友の責任観念がなおざりにせしめてはおかないのです。

しかるべき重箱の中に詰めた弁当が、例によって窃かに風呂敷に包んだまま差廻されているのを、米友は無雑作に首根っ子へ結びつけ、

「じゃあ熊公、行って来るぜ、おとなしくしてな」

こう言って縁側へ出て用意の杖槍をとると、沓ぬぎの草履を突っかけたものです。