Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme
そこで庭へ下りて、残菊にしようか、柳にしようか、それとも冬至梅か、万年青かなんぞと、あちらこちらをあさった揚句、結局、万年青が無事で、そうして豊富でよかろうというような選定から、座敷へ戻ってしきりに鋏を入れているうちに、これもいつしか三昧という気持に返って、お花の会の主席を取るような意気込みにもなり、ああでもない、こうでもない、この葉ぶりも面白くない、ではもう一ぺん庭をあさって、おもしろいのを見つけ出して来ようという気になっていると、折しも、前の庭の垣の外、いつぞや子供たちが凧をあげて、ひっからませたあたりのところで、しきりに呼び声がしました。
最初のうちは、豆腐屋か、御用聞が、近所の台所を叩いているのだろうと気にもとめなかったが、そうでもなく、その声はこの屋敷の廻りだけをうろつきながら、当てもなく呼びかけているような声でありました。
「四谷の大番町様のお屋敷は、この辺でございましょうか」
根岸くんだりへ来て、四谷とか、番町様とか言ってたずねている。お絹は頓馬なたずね方をする御用聞もあるものだなと聞き流しながら、鋏を持って再び庭へ下りて来ると、
「もし、ちょっと承りとうございますが、この辺に四谷の大番町様のお下屋敷がございますまいか」