Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 349.705 Zeichen · 678 Bildschirme

Aozora Bunko

事実、お雪ちゃんの年ならば、ここにいま持参して来た本ぐらいのことは、充分に自信がある、そういう写しものの仕事があるならば、それこそ時にとっての生活を救う無上の内職であると、勇みをなさずにはおられません。

「でございますが、お礼といってはホンの少しばかりで、お気の毒でございますが」

と番頭は入念につけ加えたことが、かえってお雪ちゃんに安心を与えるようなもので、

「ええ、いくらでもかまいませんのよ、わたしにまあ、試しに一冊だけをやらせてみて頂戴」

「では、明日持ってあがります」

貸本屋を帰してしまった後で、お雪ちゃんはなんとなく心の勇むのを覚えました。そして、身に何かの力がついたように思われてきました。

先日、あの貸本屋が最初に見えた時、この際、貸本でもあるまいと思い返してもみたことだが、自分はとにかく、竜之助を慰むるためには、何でも軽い読物が第一でなければならぬということを考え、このなかから五六冊借りてみたことが縁でありました。

その奇縁が、今日は先方からこういう仕事を持ち込んで来る、この際、自分の腕で、たとえ少しなりとも働き出してみせるという機会を与えられたことが、やっぱりお雪ちゃんにとって、言い知れぬ力とならずにはおられません。