Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
「仮面の城主の手下奴が、忍び込んでいるということだ」
「纐纈布を持っているそうだ」
「真鍮の城の眷族奴が!」
「さあそれだから優婆塞様は、帰っておいでにならないのだ」
「これで真相がはじめて解った」
「纐纈布! 纐纈布!」
囁きは漸次大きくなった。嘲りとなり恐怖となり、罵詈となり憤怒となった。
教団中が湧き上がった。人々は兇器を手に持った。そうして庄三郎の天幕の方へ、喚きながら走って行った。
信徒ではなくて暴徒であった。それこそ血に饑えた暴徒であった。
しかし庄三郎は知らなかった。何がそんなに信徒たちを、驚かせ怒らせたか知らなかった。
彼は天幕から引き出された。
「『聖壇』へ! 『聖壇』へ!」
モッブたちは絶叫した。
庄三郎は宙に釣るされ、「聖壇」の上へ運ばれた。
役ノ行者の大石像は、悲哀を含んで立っていた。その下へ庄三郎は据えられた。
「殺せ!」
と誰かが怒号した。
「嬲り殺しだ!」とすぐ応じた。
「磔刑だ! 磔刑だ!」
「火炙りにしろ! 火炙りにしろ!」
群衆は口々に叫び出した。
人生で最も惨酷なものは、群衆の持つ心理であろう。それには一切反省がない。亢奮! 亢奮! 亢奮! である。