Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
「俺とは関係のねえことだ」
「が、この俺もとっちめられた。爾来殺人が出来なくなった。自然釜奴も空腹よ」
「それがどうした。どういう意味だ」
こう云いながらも気味悪そうに、竈にかけてある巨大な釜へ、薪兵衛はジロリと眼をやった。
「そこへお前がやって来て、俺の古傷を発いてくれた」
「気の毒だな。苦しいだろう」
「で、寝返りを打とうと思う」
陶器師の手は動いて行った。刀の柄から二寸の此方、そこまで行くと動かなかった。
「おい」と陶器師はまた云った。やはり冷静の声であった。「俺の眼を見ろ、開いてはいまい」
まさしくその眼は瞑じていた。
ゴロリと陶器師は寝返りを打った。
刀がスルリと引き抜かれ、腰から逆に上の方へ、しかも左手で輪が描かれた。曇天で陽の光が射さなかった。で、ピカリとも光らなかった。
突然「わっ」と悲鳴が起こった。
陶器師は立ち上がった。
小鳥がにわかに啼き出した。
別に風が吹いたのではない。
蒲公英の花が咲いていた。
それが真赤に色彩られた。
血に浸されているのであった。
一つの死骸が転がっていた。まことに剽軽な形であった。足が二本浮いていた。空に向かって浮いていた。