Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

それがピクピク動いていた。二本の腕が延ばされていた。指先が虚空を掴んでいた。それは首のない死骸であった。

切り口から血汐が流れていた。さも愉快そうに吹き出していた。首は一間の彼方にあった。竈の横に転がっていた。口が枯草を銜えていた。

無心に陶器師は立っていた。何んの変ったこともなかった。

「だが」と彼は嬉しそうに云い、右手を後脳へ持っていった。

「いい気持ちだ、この辺が。詰まっていた物が取れたようだ」

死骸の側へ寄って行き、死骸の袖で刀を拭い、バッチリ鞘へ納めてしまった。それから死骸の両足を掴み、釜の側まで引き擦って行った。片手で釜の蓋を取った。と湯気が立ち上った。ザンブリ死骸を投げ込んだ。つづいて首を投げ込んだ。それから釜の蓋をした。

「さて」と彼は考え込んだ。「どっちへ行ったらよかろうな? ……まずともかくも甲府へ行こう。それから八ヶ岳へ行くとしよう。……存分人が斬れそうだぞ」

彼はスタスタ山を下った。

四

ちょうど同じ日の事であった。

鍛冶屋街道を甲府の方へ、二人の老人が辿っていた。

同じような年恰好、同じように道服を着、そうして二人ながら長髪であった。