Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
「フーム」
「旦那様はお役所のお仕事が忙しくて、朝も晩もろくに子供衆の顔も見ないような有様。ことに総領の勇太郎坊っちゃんは、育ちが遅れて可愛盛りを病身で暮したために、旦那様も、つい面倒臭がって、存分に可愛がっては下さいません。生れ落ちるからお育て申上げた私にしてみれば、それが口惜しくって」
お霜は涙を拭いおります。愚直な中年女の、手の付けようもなく歪んだ愛情を、平次は少し呆れて聴いております。
「で、どうしたのだ」
「去年から子さらいが流行って、諸方の親達がどんなに心配した事でしょう。私も品川に子供をさらわれた知己を持っておりますが、日頃はろくに見てもやらなかった子供でも、悪者にさらわれたとなると、まるで気狂いのようになって、夫婦は夜の目も寝ずに捜し廻っておりました。勇太郎坊っちゃまもたった三日でも姿を隠したら、旦那様や御新造様が目が覚めたように可愛がって下さるだろうと――」
「…………」
何という無茶苦茶な愛情でしょう。平次はこの愚鈍に近い乳母が恐ろしくさえなりました。
「三年前、意気地がなくて別れた亭主の文七が、また一緒になりたがっているのを頼んで、ほんの二三日坊っちゃまを隠して貰うつもりだったのでございます。