Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
入口の三畳、それに隣る六畳は、いつかガラッ八と一緒に通された部屋。そこにお京の床は紅い木綿の裏を見せて、淋しく敷き捨てたまま、枕の脹らみ具合では、一度も寝なかったことが一と目で解ります。
その奥の部屋は、皆川半之丞が特別な弟子達を通す場所でしょう。主人の不満も知らぬ顔に、平次の手はサッと唐紙を開けました。
そこは六畳のよく片付いた部屋、平次が期待したようなものは何にもなく、主人半之丞の床が部屋の隅に片寄せて、ザッと積んであるだけです。
平次もさすがにそれ以上は遠慮しなければなりませんでした。縁側に立ってみると、裏木戸へ通ずる庭がよく踏み堅められて、苔一つないのが不思議といえば不思議です。それよりも平次の眼を驚かしたのは、狭い庭のあちこちに、撒いたように散っている一種の土くれでした。
この家の中をもっとよく捜したら? 平次は、そんな事を考えておりましたが、庭の死体もそのままにして、さすがに家探しもなり兼ねます。
「お知合の方へ人をやりましょうか、皆川様」
平次は見兼ねて注意しましたが、
「いや、江戸には格別の知合もない」
半之丞は、冷たく言い放って、妹の死体の側に、検屍の済むのを待っている様子です。