Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
多分この渋紙を敷いて何かの作業をするのでしょう。
平次は懐中提灯に明りを入れると、一方の板戸をサッと開けました。中は一間の押入、床板二三枚は手に従って剥がされ、その下に真っ黒な穴が、地獄の入口のように口を開きます。
平次は何の躊躇もなく入って行きました。穴は、三尺四方ばかり、粗末ながら巌丈な段々があって、二間ばかり降りると、今度は真っ直ぐに横へ伸びております。
ムッとする土の匂いも、不気味な暗さも、もう平次を牽制しませんでした。長崎屋の方へ――五六間も入って行くと、何やら行手に蠢くもの――。
平次はハッと立止って、懐中提灯を突き付けました。
「八じゃねえか」
変り果てた姿ですが、ガラッ八の八五郎に紛れもありません。わずかに敷いた筵の上に、滅茶滅茶に縛られて、猿轡にも及ばず、声を立てる気力もなく、ガラッ八の八五郎はピカリピカリと眼ばかり光らせていたのです。
「…………」
ガラッ八の顔は激情に歪んで、口が声もなくフカフカと動きました。
「確りしろ、八、もう大丈夫だ」
平次はその縄を切りほどいて、赤ん坊を抱くように起してやりました。
「親分」
「何だ、八」
「ひどい目に逢わしやがったぜ、畜生ッ」