Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme

Aozora Bunko

「あッ、これはひどい」

切り破られた引窓、そこから例の手で、紐を伝わって、猿のごとく忍び込んだ曲者は、ちょうど、目を覚して飛起きた、娘のお琴を一と当て、猿轡を噛ませた上、雁字がらめにして、そのまま家中を捜したのでしょう、滅茶滅茶にかき乱した中へ、朝の光がうらうらと射し込んで、世にも不思議な対照を見せております。

平次はまだ縛られたままになっている娘のお琴を引起すと、菜切庖丁を持って来て、バラバラと縄を切りほぐし、それから猿轡を取って、

「どうなすった、お嬢さん、――とんだ災難でしたね、――見たこと聞いたこと、詳しく話して下さいな」

ガラッ八に雨戸を開けさせ、乱れた娘の衣紋まで直してやりながら、平次は物柔かに問い進みました。

「何にも知りません、――気が付いた時は床の中から引出されて、こんなに縛られておりました」

「引窓をコジ開ける音とか、ここへ入って来る様子とか――そんなものに気が付きゃしませんか」

「いえ」

娘は美しい顔を上げます。気が緩んだせいか、恥かしい姿を、平次やガラッ八の前にさらした口惜しさのせいか、ポロポロと涙が、睫毛に溢れて、少し蒼ざめておりますが、それでも、存分に豊かな若い頬を濡らします。