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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme

Aozora Bunko

「あなたは、何にも御存じなかったので?」

さんざん荒らされた部屋の中を見廻しながら、平次はこの頼み少ない老人を見やりました。

「耳も眼も遠いから、滅多なことでは気がつきませんよ、――もっとも気がついて、なまじ腕立てなどをしたら、私の身体が危なかったかも知れない」

「…………」

心細い侍――そんな事を考えながらも、ヨボヨボの中江川平太夫を非難する気にはなれません。

「こんな事を言っては変だが――いや、平次親分だから言うが、金の在高が知れると私の命がないかも知れない。わずか六十両や七十両で済めば、――」

中江川老人はそう言って、真っ白な頭をブルブルふるわせるのでした。

曲者の入った跡から、逃げた出口まで、平次は入念に見廻しました。物置の後ろには九つ梯子があるのに、曲者はそれに気のつかなかったものか、物干場から物置の屋根に上り、そこからお勝手の上へ出て、引窓をコジ開けて入ったのは、この曲者の手形のような手順です。

庇の上は埃で汚くなっているのに、家の中に足跡のないのは、用心深く履物を懐へでも入れたのでしょう。お琴を縛って、次の間を荒らし抜いた上、主人平太夫の寝間は覗いても見ずに、そのまま縁側から出たのは、年を取っても二本差などには触れない、いかにも賢いやり口です。