Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lisez 三国志(一) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 309 839 caractères · 622 écrans

Aozora Bunko

張飛卒

一

一

白馬は疎林の細道を西北へ向ってまっしぐらに駆けて行った。秋風に舞う木の葉は、鞍上の劉備と芙蓉の影を、征箭のようにかすめた。

やがて曠い野に出た。

野に出ても、二人の身をなお、箭うなりがかすめた。今度のは木の葉のそれではなく、鋭い鏃をもった鉄弓の矢であった。

「オ。あれへ行くぞ」

「女をのせて――」

「では違うのか」

「いや、やはり劉備だ」

「どっちでもいい。逃がすな。女も逃がすな」

賊兵の声々であった。

疎林の陰を出たとたんに、黄巾賊の一隊は早くも見つけてしまったのである。

獣群の声が、鬨をつくって、白馬の影を追いつめて来た。

劉備は、振り向いて、

「しまった!」

思わずつぶやいたので、彼と白馬の脚とを唯一の頼みにしがみついていた芙蓉は、

「ああ、もう……」

消え入るようにおののいた。

万が一つも、助からぬものとは観念しながらも、劉備は励まして、

「大丈夫、大丈夫。ただ、振り落されないように、駒の鬣と、私の帯に、必死でつかまっておいでなさい」と、いって、鞭打った。

芙蓉はもう返事もしない。ぐったりと鬣に顔をうつ伏せている。その容貌の白さはおののく白芙蓉の花そのままだった。