Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lisez 三国志(一) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 309 839 caractères · 622 écrans
という朱雋の命令には、玄徳は素直な質なので、承知して戻ったが、関羽も、張飛も、それを聞くと、
「え。すぐにここを立てというんですか」
と、むっとした顔色だった。ことに張飛は、
「怪しからん沙汰だ。いかに官軍の大将だからといって、そんな命令を、おうけしてくる法があるものか。昨夜から悪戦苦闘してくれた部下にだって、気の毒で、そんなことがいえるものか」と、激昂し、「長兄は、大人しいもんだから、洛陽の都会人などの眼から見るとなめられやすいのだ。拙者がかけ合ってくる」
と、剣をつかんで、朱雋の本営へ出かけそうにしたので、玄徳よりは、同じ不快をこらえている関羽が、
「まあ待て」と、極力おさえた。
「ここで、腹を立てたら、折角、官軍へ協力した意義も武功も、みな水泡に帰してしまう。都会人て奴は、元来、わがままで思い上がっているものだ。しかし、黙ってわれわれが国事に尽していれば、いつか誠意は天聴にも達するだろう。眼前の利慾に怒るのは小人の業だ。われわれは、もっと高い理想に向って起つはずじゃないか」
「でも癪にさわる」
「感情に負けるな」
「無礼なやつだ」
「分った。分った。もうそれでいいだろう」