Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lisez 三国志(一) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 309 839 caractères · 622 écrans
「ここにおいて、予はあえていおう。憂うるなかれ諸卿と。幸いにも、皇弟陳留王こそは、学を好み、聡明におわし、天質玲瓏、まことに天子の器といってよい。今や天下多事、よろしくこの際ただ今の天子に代うるに、陳留王をもってし、帝座の廃立を決行したいと考えるが、いかがあろうか。異論あるものは立って意見を述べ給え」
驚くべき大事を、彼は宣言同様にいいだしたのである。広い大宴席に咳声ひとつ聞えなかった。気をのまれた形でもあろう。董卓は、俺に反対する者などあるわけもない――といったように、自信のみちた眼で眺めまわした。
すると、百官の席のうちから、突として誰か立つ音がした。一斉に人々の首は彼のほうを見た。
并州の刺史丁原である。
「吾輩は起立した、反対の表示である」
董卓はくわっと睨めて、
「木像を見ようとは思わない。反対なら反対の意見を吐け」
「天子の座は、天子の御意にあるものである。臣下の私議するものではない」
「私議はせん。故におれは公論に糺しておるのじゃっ」
「先帝の正統なる御嫡子たる今の帝に、なんの瑕瑾やあらん、咎めやあらん。こんな所で、帝位の廃立を議するとは何事だ。