Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lisez 三国志(一) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 309 839 caractères · 622 écrans
風に漂ってくる歌声は、深沈と夜をながれて、いかにも哀切な調子だった。
彼は、それが耳について、
「李粛」と、また呼んだ。
「は。まだお目をさましておいででしたか」
「あの童謡は、どういう意味だろう。なんだか、不吉な歌ではないか」
「その筈です」
李粛は、でたらめに、こう解釈を加えて、彼を安心させた。
「漢室の運命の終りを暗示しているんですから。――ここは長安の帝都、あしたから帝が代るのですから、無心な童謡にも、そんな予兆が現れないわけはありません」
「なるほど。そうか……」
憐れむべし、彼はうなずいて、ほどなく昏々と、ふかい鼾の中に陥ちた。
後に思えば。
童謡の「千里の草」というのは「董」の字であり、「十日の下」とは卓の字のことであった。
千里草
何青々
十日下
猶不生
と街に歌っていた声は、すでに彼の運命を何者かが嘲笑していた暗示だったのであるが、李粛の言にあやされて、さしもの奸雄も、それはわが身ならぬ漢室のことだと思っていたのである。
朝の光は、彼の枕辺に映しこぼれてきた。
董卓は、斎戒沐浴した。
そして、儀仗をととのえ、きのうに勝る行装をこらして、朝霧のうすく流れている宮門へ向って進んでゆくと、一旒の白旗をかついで青い袍を着た道士が、ひょこり道を曲ってかくれた。