Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lisez 三国志(一) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 309 839 caractères · 622 écrans
いかなる大軍も、そこでは喰い止められるものと人々は考えていたところ、なんぞ計らん、長安の市中に潜伏して生命を保っていた無数の旧董卓派の残党が、
「時こそ来れ」と、ばかり白日の下におどり出して、各城門を内部からみな開けてしまった。
「天われに与す」と、西涼軍は、雀躍りして、城内へなだれこんだ。それはまるで、堤を切った濁流のようだった。
雑軍の多い暴兵である。ひとたび長安の巷におどると、狼藉いたらざるなしの態たらくであった。
ついこの間、酒壺をたたき、平和来を謳って、戸ごとに踊り祝っていた民家は、ふたたび暴兵の洪水に浸され、渦まく剣光を阿鼻叫喚に逃げまどった。
どこまで呪われた民衆であろうか。
無情な天は、そこからあがる黒煙に、陽を潜め、月を隠し、ただ暗々瞑々、地上を酸鼻にまかせているのみであった。
変を聞いて。
呂布は、一大事とばかり、ようやく山間の小競り合いをすてて引返して来た。
だが、時すでに遅し――
彼が、城外十数里のところまで駆けつけて来てみると、長安の彼方、夜空いちめん真赤だった。
天に冲する火焔は、もうその下に充満している敵兵の絶対的な勢力を思わせた。