Classiques japonais avec furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lisez 三国志(一) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 309 839 caractères · 622 écrans
すると、突然――
一方の山間から旗印も何も持たない変な軍隊がわっと出て来た。その真っ先に立った一名の壮士は、やにわに路を塞いで、何儀を馬から蹴落した。もんどり打って馬から落ちた何儀は、
「うぬ何者だ」
と、槍を持ち直したが、壮士はいちはやくのしかかって、何儀を縛りあげてしまった。
何儀についていた賊兵は、怖れおののいて皆、壮士の前に降参を誓った。壮士は、自分の手勢と降人を合わせて、意気揚々、もとの山間へひきあげて行こうとした。
こんなこととは知らず、何儀を追いかけて来た悪来典韋は、それと見て、
「待て待て。賊将の何儀をどこへ持って行くか。こっちへ渡せ」
と、壮士へ呼びかけたが、壮士は肯かないので、たちまち、両雄のあいだに、龍攘虎搏の一騎討が起った。
五
この壮士は一体何者だろう。
悪来典韋は、闘いながらふと考えた。
賊将を生擒って、どこかへ拉して行こうとする様子から見れば、賊ではない。
といって、自分に刃向って来るからには、決して味方ではなおさらない。
「待て壮士」
悪来は、戟をひいて叫んだ。
「無益な闘いは止めようじゃないか。貴様は黄巾賊の残党でもないようだ。