Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

Leggi 任侠二刀流 (にんきょうにとうりゅう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.569 caratteri · 451 schermate

Aozora Bunko

はじめて流れた妖婦の涙

と、何者か彼の刀を、静かに持ち上げるものがある。幹之介ズ――ッと眼をやった。一人の女が蹲り、懐紙で血糊を拭っている。「八重梅!」「幹様!」――逢ったのである。

はじめて流れた妖婦の涙

逢った二人、八重梅と幹之介、顔を見合わせたものである。

キュ――ッと八重梅刀をしごいた、懐紙が真っ赤だ。血糊である。ポンと捨てると俯向いた。幹之介立って見下ろしている。ダラリと刀を下げている。はじめて人を切った刀である。ブルブルと切っ先の顫えていることは!

「きゃつを殺した! 薪十郎を!」

「常夜燈の蔭で見ていました」

「お前を殺そうとした奴だ」

「立ち聞きいたしましてございます」

「俺はな、俺はな、人を殺したのだ!」憑かれたような声である。依然佇んで見下ろしている。どうやら放心しているらしい。

「あなたは殺人をなさいました。それもみんな妾のために」地に坐ったまま荻野八重梅、眼を幹之介の顔へ注いだ。肩を縮め、膝を縮め、彫像のように動かない。

と、幹之介歩き出した。とりとまりのない歩き方である。

「どこへ?」というと荻野八重梅、袖を捉えたものである。

「うむ」と云ったが幹之介、しばらくじっと考え込んだ。