Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にんきょうにとうりゅう

任侠二刀流

国枝 史郎

Leggi 任侠二刀流 (にんきょうにとうりゅう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.569 caratteri · 451 schermate

Aozora Bunko

思案に余った宗三郎

さて早朝のことであるが、その上名古屋の密林を、歩き廻っている武士があった。

「昨夜たしかにこの耳で、レキ、ロクという轍の音を、幽かながらも聞き込んだが、普通の荷車の音ではなかった。薬草道人の薬剤車! それではあるまいかと旅籠を飛び出し、追っかけた時にはどこへ行ったものか、轍の音が消えてしまった。……名古屋へ入り込んでから約一月、毎日毎日探し廻るのだが、行方が知れないとは心細いなあ」

それは山影宗三郎であった。傷もすっかり癒ったと見え、螢ヶ丘にいた時から見ると、肉附きもよく血色もよい。

「いずれ薬草道人のことだ、町の旅籠へなどは泊まるまい。森か林か田圃などへ、野宿などをして住んでいるかもしれない。こう気がついてこの二三日、郊外あさりをやり出したんだが、やっぱりどうも目付からない。ひょっとかすると名古屋を見限り、他の土地へ行ったんじゃアあるまいかな?」

思案に余ったというように、つくねんと切り株に腰をかけた。早暁の密林である。斜めに射し込む陽の光、奥所には靄が這っている。野菊、藤袴、女郎花、雑草の中に花が咲いている。

と、林の奥の方から、云い争う声が聞こえて来た。