Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
山の手の屋敷町が見える。日比谷村あたりの畑や河すじの船が見える。下町の人通りが見える。
(ああ、この世だ)
又八は、改めて、そう観じずにいられなかった。そしてもいちど、あの浮世の中へ漂ってみたいと思う執着に、涙がぼろぼろながれて来た。
――なんまいだ
――なんまいだ
彼は眼をふさいだ。唱名の声がだんだん唇を破って大きくなって来た。果ては夢中だった。
沢庵はふり顧って、
「これ、はやく歩け」
濠にそって、沢庵は大手のほうへ繞って行った。そして、原を斜めに横ぎって歩いた。又八は、千里もある心地がしていた。このまま道は地獄に続いているように、昼間も真っ暗な心地がした。
「ここで、待っておれ」
沢庵にいわれて、彼は原の中に佇んだ。原のそばには常盤橋御門からつづいている掘割の水が土の色を溶かして流れていた。
「はい」
「逃げてもだめだぞ」
「…………」
もう半分死んでいるような顔を悲しげに顰めて、又八道心は、うなずいた。
沢庵は原を出て、往来の向うへ渡って行った。すぐ前に、まだ職人が白土を塗りかけている土塀があった。土塀につづいて高い柵があり、柵のうちには、凡の町家や屋敷構えとちがう黒い建物の棟が重なっていた。