Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
五
心もとないことには、伊織の姿が見えない。武蔵は、当面の敵へは単に、備えておくに止めて、
「伊織っ……」
と、呼んでみた。
ふと見ると、杉林の中に、追い廻されている者がある。それが伊織だった。今討ち洩らした一名の法師が、槍を拾って、伊織を追い駈け廻しているのだった。
「ア、おのれ」
彼の救いに――その方へ武蔵が身を外そうとすると、
「やるなッ」
どっと、前の五名は、刃をつらねて、間近へ斬り込んで来た。
疾風を起して、武蔵は、対って来た刃へ、自身からも対って行った。怒濤へ怒濤をぶつけたのである。飛沫となって血は刎ね飛んだ。武蔵の体は、敵よりも低目に、そして彼の背はまるで渦に見えた。
血の音、肉の音、骨の音までがした。ふた声三声、つづけざまに絶鳴がその中に交じった。右へ左へ、朽木仆れに斃れた者のすべてが、胴から下を薙ぎられていた――そして武蔵の手には、右に大剣と、左に小剣が握られていた。
「――わっ」
二人ほどが、のめるように、逃げ出した。追いかけざま、
「何処へ」
ひとりの後頭部へ、左剣を浴びせた。
びゅっ――と黒い返り血が、武蔵自身の眼へ刎ねた。
武蔵は、左剣の手を顔へ――思わず眼へ当てた。