Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate

Aozora Bunko

五

五

双方とも、固着したまま、姿勢の上にはいつまでも、なんの変化も見えなかった。

だが、小次郎も忠明も、肉体の内には、怖ろしい生命力を消耗していた。

その生理的変化は、鬢をつたう汗となり、鼻腔の喘ぎとなり、青白な顔色となって、今にも、寄るかと見えながら、剣と剣は、依然、最初の姿勢を持続していた。

「――降ったっ」

忠明が叫んだのである。――叫びながら、刀と身を、そのまま、ぱっと後ろへ退いたのであった。

けれど、その言葉が、待てっ、といったように響いたのかも知れなかった。小次郎の体は、とたんに、動物的な跳躍を空にえがいていた。それと共に、揮り伸ばした物干竿は、忠明の姿を真二つに斬り下げたかのような旋風を起し、忠明の髷のもとどりは、それを交わすに急なため、逆立って、ぷつりと、元結の根が切れた。

――しかし、忠明が、肩を落しながら刎ね上げた行平の切先もまた、小次郎の袂を、五寸ほど切り飛ばしていた。

「理不尽!」

憤りは、門人たちの顔に、燃えあがった。

忠明が今、

(降った)

と、いったことばで、双方の立合が、喧嘩ではなく、試合であったことは明白である。

だのに、小次郎は、むしろその隙を得たりとなして、無下に斬って行った。