Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
五
その時、床几場のあるすぐ後ろの丘から、誰やら降りて来た。佐々木巌流であった。待ちしびれていた巌流は、小高い山に上って、独り腰かけていたものとみえる。
左右の立会役の床几へ礼をして巌流は、磯のほうへ向い、静かに、草を踏んで歩み出していた。
五
陽は、中天に近かった。
小舟が、島の磯近くへ入ってくると、幾ぶん入江になっているせいか、波は細やかになり、浅瀬の底は青く透いてみえた。
「――どの辺へ?」
櫓の手を弛めながら、佐助は磯を見まわして訊ねた。
磯には、人影もなかった。
武蔵は、かぶっていた綿入れを脱ぎ捨てて、
「真っ直に――」
と、いった。
舳はそのまま進んだ、けれど佐助の櫓の手は、どうしても大きく動かなかった。――寂として、人影も見えない島には、鵯が高く啼いていた。
「佐助」
「へい」
「浅いなあ、この辺は」
「遠浅です」
「むりに漕ぎ入れるには及ばぬぞ。岩に舟底を噛まれるといけない。――潮は、やがてそろそろ退潮ともなるし」
「……?」
佐助は答えを忘れて、島の内の草原へ、眼をこらしていた。
松が見える。地味の痩せをそのまま姿にしているひょろ長い松だ。――その木陰に、ちらと、猩々緋の袖無羽織のすそが翻めいていた。