Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
三
自分を守らぬ神仏があれば、神仏のほうが悪仏邪神であるとするであろうほど、彼女にとって、彼女は善の権化だった。
――だからこの風雨に、観音菩薩の化身が救いに降りて来ても、彼女にはすこしの不思議でも何でもない。当然こうあらねばならぬ気持であった。
しかし、その幻覚が、幻覚でなく、実際に誰か窟の外へ近づいて来たので、ばばは、途端に気がゆるんで、ああ、と失心してしまったのではなかろうか。
「……?」
窟の外にあるお通も、あれほど物狂わしかったばばの声が急に絶えたので、もしやと、気が気ではなくなった。早く窟の口を開こうものと、必死の力を出していたけれど、彼女の力では、その岩の一つすら動かなかった。竹の子笠の紐はちぎれて飛び、黒髪は、蓑と一緒に、雨風に吹きちらされた。
三
どうして、こんな大きな岩を、城太さんは独りで動かしたろう、と思う。
体で押してみたり、両手をかけてありったけの力をこめてみたが、窟の口は一寸も開かない。
お通は、精を疲らして、
(城太さんも、あんまり酷い)
と、恨みに思った。
自分が来たからよいようなものの、もしこのままにしておけば、ばばは中で狂い死してしまう。