Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate

Aozora Bunko

四

無知蒙昧な者ならそれへ、石でも唾でも投げられるかもしれないが、武士の家に生れて、童学からその教養に躾けられて来た者には――

「ああ」

と、真剣の荘厳に打たれ、そのせつなには愛憎も忘れて、ただ、見まもる気になるのだった。

けれど、それは一瞬の、忘失的作用にすぎない。すぐ感情は全身をくわっと醒まして、

「うぬ」

「お助太刀」

とばかり二、三の者が小次郎の後ろへ駈け迫ろうとした。

すると忠明が、

「寄るなっ!」

と、叱咤した。

声も常とはちがう。霜のような気を帯びていた。

「……あ」

と、乗り出した身を退きながら彼らはふたたび、徒らに、手出しのならない刀の鯉口を握りしめているしかなかった。

――けれども、少しでも、忠明の方に、敗色が兆したら、耳をふさいで、四方から小次郎をつつみ、一気にずたずたに斬ってしまうつもりでいるらしい――めいめいのその眼ざしであった。

四

治郎右衛門忠明は、まだ壮健だった。五十四、五歳であろう。髪は黒く、見たところはなお四十代にしか見えない。

小づくりであるが、腰の据りがよく、四肢は伸び伸びして、全体の姿態に、少しの硬化もなく、また、小柄にも見えなかった。