Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
「もうお止し。探さないでもいい」
重ねて、権之助はいったが、伊織はなお諦めきれぬ顔して、
「何奴だろ。誰かがきっと、持って行ったにちがいないよ」
「まあいいよ。たかが莚一枚」
「莚一枚でも、だまって持って行った心根が憎いもの」
「…………」
権之助はもう忘れて、草の上に坐りこみ、矢立を出して、昼前の旅の小遣帳をつけていた。
彼が、旅の間にも、こういうことを克明に誌けるようになったのも、伊織と旅をし、伊織に感心してからのことである。伊織は、時には、子どもらしくなさ過ぎるほど、生活には用意ぶかかった。物を無駄にせず、几帳面な質で、自然、一椀の飯にも、毎日の天候にも、感謝を知っていた。
――だからまた、人にも、違ったことは、許さない潔癖がある。この潔癖は、武蔵の手を離れて、人中へ出るほど育てられて来た。――で、一枚の莚といえど、ひとの迷惑を思わず、無断で持って行った人間の心根を、伊織は憎んでやまないのであった。
「ア。――あいつらだな」
伊織は、遂に見つけた。
権之助が旅に持ち歩いている寝莚を、平気で敷いて、弁当を喰べている三人の主従を。
「もし。――おいっ」
伊織は、そこへ駈けて行った。