Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
しばらくすると、無可先生は、尺八にするにしては太すぎるし、みじかくもある一節を切って、藪から出て来た。
鼠頭巾に、鼠無地の単衣を着、脇差ひと腰。それでいて、年は若い。そんな地味ではあるが、まだ三十とは思われない。
一節切の竹を、井戸端で洗い、文字どおりな裏店の室内へ上がって来ると、床の間はない――ただ壁の隅へ、一枚の板をおいて、そこへ誰の筆か、祖師像を描いたのを懸けてあるだけの――その置床の板へ、竹の節を据えた。
花挿になっている。
雑草にからんだ昼顔の花を、ぽんと投げてあるのだった。
――悪くない。と、自分でも見ているらしい。
それから机に坐って、無可先生は、習字をし始めた。遂良の楷書の手本と、大師流の拓本が載っている。
「…………」
ここへ住んでからでも、一年の余になる。日課を務めたせいだろう。看板の文字よりは、はるかに上達していた。
「お隣のお師匠さん」
「はい」
筆を措いて、
「――隣のおばさんか。暑いのう、今日も。お上がりなされ」
「いえいえ。上がってはいられないが……何じゃろ? 今大きな音がしたようだが」
「ははは。私の悪戯ですよ」
「子ども衆をあずかる先生、悪戯しては困ったものじゃ」