Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate

Aozora Bunko

観音

一

それに秋の空癖、朝までに霽るかもしれない。

お通は、そんなことを思いつつ、まだ帯も解かず坐っていた。

ちょっと、寝つきが悪そうに、夜具の中で、もずもずしていた城太郎も、いつの間にか、眠り入っている。

ポト、ポト……と、どこかに雨の漏る音がする。雨のしぶきが、がたがたと戸を打つ。

「城太さん」

お通は、ふと、呼びかけた。

「――ちょっと眼をさましてくださいな。城太さん」

何度呼んでも、眼を醒しそうな様子もない。強いて起すのも――と彼女はすぐ躊躇ってしまう。

ふと、彼を起して、訊ねたいと思ったのは、お杉ばばのことである。

ばばの味方の者へ、河原でもいっていたし、途中でも、ちらと聞いたが、このひどい雨に、城太郎が、ばばへ与えた懲罰は、余りといえば、酷い。可哀そうである。

(この雨風に、濡れもしよう。冷えもしよう。年をとっている体、悪くしたら朝までに死んでしまうかも知れぬ。――いやいや、幾日も、人に気づかれずにいれば、それでなくても餓死するにきまっている)

苦労性な生れつきか。ばばの身までを案じ出して、彼女は、仇とも思わず、憎いとも考えず、雨の音、風の音のひどくなるほど、独りで胸を傷めてしまう。