Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
琥珀色の眸を、油断なく研ぎすまして、獲物を空に追う鷹の姿を、巌流の眼がまた、追っていた。
獲物を、鷹が爪にかけると、チラチラと、鳥の毛が空から降って来た。――巌流は息もしなかった。自分が鷹になりきって見ていた。
「……よし。あれだ」
彼は、鷹を師として、悟るところがあった。一日ごとに、彼の面上に、自信の色がついて来た。
が、夕方屋敷に帰ってみると、いつもお光の眼は、泣き腫れていた。それを粧い隠しているだけ巌流の胸が傷んだ。だんじて、武蔵に敗れは取らぬと、かたい自信がありながら、お光のそんな姿を見ると、
(……おれに別れたら)
などと、ふと死後のことが考えられたりした。それからまた妙に、常には考えもしない亡き母のことなども思い出された。
(もう、あと幾日もない)
と思って眠る夜ごとに、彼の瞼には、琥珀色の鷹の眼と、憂いに腫れているお光の眼とが、こもごもに見えて、その間に、母の姿が明滅していた。
十三日前
一
赤間ヶ関もそうである。門司ヶ関、小倉城下はもちろんのことだった。この数日のあいだに、旅客の去る者はすくなく、留る者は多く、どこの旅舎もいっぱいで、旅籠の前には必ずある駒繋ぎの棒杭さえ、馬と馬で混み合っていた。