Classici giapponesi con furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Leggi 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 350.912 caratteri · 702 schermate
……どうして此処へは?」
不審そうにいう彼の眼の前に、旅垢にまみれた夢想権之助とお杉ばばとは、浜砂の中に埋まるように坐って、手をつかえていた。
「きょうの試合。一期のお大事と存じまして」
権之助のことばに次いで、ばばもいった。
「お見送りにのう。……そしてまた、わしは其方にきょうまでの詫言をしに来ました」
「はて。ばば殿が、この武蔵に詫言とは」
「ゆるしてたも! ……武蔵どの。長い間の、ばばが心得ちがいを」
「……えっ?」
むしろ疑うばかりに、武蔵は彼女のそういう面を見まもって、
「ばば殿、それはまた、どういう気持でわしへ仰っしゃるのか」
「何もいわぬ」
ばばは胸に、両掌を合せて、今の自分の心の相を、象に見せた。
「――過ぎ来し方の事々。一つ一ついうたら、懺悔申すにも懺悔しきれぬ程あるが、すべてを水と流してたも。武蔵どの、ゆるしてたも。皆……子ゆえに迷うたわしの過ちであった」
「…………」
じっと、その相を見入っていた武蔵は、あな勿体なしといわぬばかりに、遽かに膝を折って、ばばの手を取って伏し拝み、しばらく顔も上げ得なかったのは――胸もつまって涙がつきあげそうになって来たからであろう。